相手を責める言葉、使ってませんか?「なぜ」「当たり前」etc…
人に何かを質問する時… 自分ではそんなつもりはないのに、予想以上に相手が落ち込んだり、悲しんだり、怒ったり…そんな経験はありませんか?
人に何かを教える時、説得する時… 相手を納得させるために力が入ってしまうことはありませんか?
心当たりがある あなた…
- 質問の際に「なぜ?」「どうして?」
- 説得する際に「当然」「はずだ」
といった言葉を使っていませんか?
今日は「なぜ?」「当然」といった、質問や説得の際に、相手を責めるニュアンスになりやすい言葉について、解説をします。
- 我が家での出来事
- 皆さんは次の表現を使わずに、コミュニケーションが出来ますか?
- 「なぜ〜」「どうして〜」は相手を責めるニュアンス
- 「当たり前」「はずだ」「当然」「絶対」は決めつけるニュアンス
- コミュニケーション関連記事
- 参考図書
我が家での出来事
先日、子どものランドセルのストラップが破れているのを、妻が見つけました。
- 妻「なんで破れてるの?!」
- 子「分からない」
- 妻「分からないってなに?」
- 子「分からないんだもん」
- 妻「どうしてこんなことになってるのかを、きいているの!!」
- 子「分からないけど」
- 妻「分からないってなんだ??学校で雑に投げ捨てたりしたはずだ!!」
- 子「うーん…」
というやりとりがしばらく続き…… 最後は、子どもが「学校でランドセルを背負った時に、机に引っかかった気がする」と言いました。
そして、妻に「もっと丁寧に扱いなさい」と注意を受けて収束。
子どもは涙目になっていました。「妻も言いすぎたかも…」と気にしていました。
その後、私は妻と話しをして……妻がランドセルをいつも綺麗に拭いたり、子どものためにしてくれていることを労いました。
また、子どもと「次からどうしよっか?」と一緒に考えました。ランドセルを学校でロッカーにしまう時や、取り出すときに、「何かに引っかかってないか見るようにする」と、自分で考えた子どもに対し、「えらいね、ママも喜ぶよ」と褒めました。
皆さんは次の表現を使わずに、コミュニケーションが出来ますか?
- 「なぜ〜」「どうして〜」
- 「当たり前」「はずだ」「当然」
いかがですか?結構普通に使っている言葉ですよね。
私は、1については、あまり使わないように意識しています。でも、2については、結構使っている場面が多いかもしれません。
実はこの2つの言い方は、私のブログでお勧めしているアサーティブな自己表現どころか、アグレッシブな自己表現に陥りやすいものなのです。
「なぜ〜」「どうして〜」は相手を責めるニュアンス
「なぜ〜」とか「どうして〜」というのは、一見ただの疑問文です。純粋に理由や状況などを聞きたいときに、何気なく使用している言葉ですよね。
でも、実は…… 質問する側に「そうするべきではなかった」とか「どうしてそうなっているか理解できない(したくない)」など、相手を責める気持ちが込められている場合が多々あります。
ですので、あなたに責める意図がなかったとしても、相手は責められたと感じてしまう可能性があります。
すると、相手は腹を立てたり、怯えます。
結果、あなたは、相手の素直な気持ち、正直な気持ちを知る事が出来なくなってしまいます。
アイメッセージに置き換える
では、どんな伝え方をすれば良いのか?
私が最も有効だと思うのは、アイメッセージの表現に置き換えることです。例えば次のような言い方です。
- (私は)あなたが〜した気持ちや理由を知りたい。
- (私は)あなたの正直な気持ちを教えてほしいと思っている。
などです。全然ニュアンスが違う気がしませんか?
非言語メッセージを穏やかにする
アイメッセージがしっくりこない人、「なぜ〜」「どうして〜」が自然に出てきてしまう人は、次のことを意識しましょう。
- 話すスピードをゆっくりにする
- 声音をちょっとだけ高くにする
- 表情を和らげる
コミュニケーションは、言葉の内容よりも、非言語メッセージ(例えば、表現、声の大きさ、姿勢など)で伝わる情報の方が多いのです。なので、言葉は同じでも、非言語のメッセージを穏やかにすることで、伝わるニュアンスがかなり変わります。
もし、上の2つの方法を、どちらも選びたくない場合は…… たぶん、相手を責めたい、問い正したい、という思いを持っている可能性があります。
そうであれば、わざわざ「なぜ〜?」などの疑問文にはせずに、「〜のつもりでやったなら、私は間違っている思う」などと、アイメッセージに変換して、自分の意見を伝えることをお勧めします。
「当たり前」「はずだ」「当然」「絶対」は決めつけるニュアンス
「〜するのは当然です」「〜になるはずだ」などの表現を使う時、あなたはどのような気持ちになっていますか?
「相手を何とか説得したい」「思うようにコントロールしたい」などの気持ちはありませんか? また、「相手よりも自分が絶対に正しい」という気持ちはありませんか?
もし、その気持ちがあるのであれば、使う場面や使い方を少し意識してみることをお勧めします。
確率や程度によりますが、世の中に絶対という事はありません。
また、そもそも、相手に何かを求めたり、説得したいと思っているのは、他でもなく、あなた自身です。
にもかかわらず、「当たり前だ」などの言い方をするのは、例えば、世間の常識など、見えない他者の力をかりて、数の論理で相手を抑えつけようとする表現です。
さらに、この言い回しや考え方は、例えば、子どもや部下など、自分よりも立場が弱い人に使用してしまう傾向があるので、要注意です。
アイメッセージに置き換える
では、どんな表現が望ましいのでしょうか?
ここでも、Iメッセージの出番です。
例えば、ご飯を残してしまう子どもに対して
- ご飯を食べないと絶対に元気になれないよ
- ご飯は残さず食べるのが当たり前
などと表現しているのであれば、(私も結構使ってしまいますね……苦笑)それをアイメッセージに変換します。
- ご飯を食べない子は、元気になれないと(私は)思うから、食べて欲しい
- 一緒懸命作ったから、残されると(私は)悲しいな…、だから食べて欲しい
といった表現ですね。
こうすることで、相手を抑えつけるような表現を避けることができます。
今日は「なぜ〜」、「当たり前」などの言葉に関して、その言葉がもつネガティヴな側面について、お伝えしました。
もちろん、子どもが危ないことをしている時など、即効性のある強い言い方で、直ぐに言うことをきかせたい場面もあると思います。
また、論文やプレゼンなど、根拠をもとに、言い切った方が良い場面もあります。
私は、これらの言葉を全く使わない方がいいとは思ってません。
ただ一つ…… これらの言葉が持つネガティヴな側面を意識していただき、アイメッセージに変換して表現することが可能かを、ちょこっと考えていただければ……、と思っています。
あなたにその気がないのに、相手を不快にさせたり、怯えさせたりすることが続くと、きっとあなた自身が後悔することになるからです。
ぜひ、ご自身の気持ちに向き合い、その上で、自分がスッキリするような自己表現を心がけてください。
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