ストレスと上手に付き合うための講座④「代表的な4つのコーピング手法」
こんにちは。ハレバレです。
前回までは、「ストレスとは何か?」「どのような考え方がストレスを強めるか?」等について、お話ししてきました。
本日からは、いよいよストレスの対処方法に関する内容に進みます。
ストレスへの対処方法をカウンセリングや心理学の世界では「コーピング」と呼んでいます。本日は特に代表的な4つのコーピング手法についてご説明します。
ストレスに悩まされた時、4つのうちどの手法を行うと良いか?を整理して考えられるようになるので、ぜひぜひご参考にしてください。
コーピングとはストレスに対処する技術
ストレスを強く感じるかどうかは、人それぞれの物事の考え方や人生経験によって左右されます。
例えば...
以前は、失敗したり人に責められた時に、一週間くらいは立ち直れなかったのに、年齢や経験を重ねる中で、一晩寝ればコロッと気持ちを切り替えられるようになる
なんて話が結構あります。
私自身も10年前と今では、立ち直りの速さやそもそものダメージの強さが全く違います。
つまり、人は経験を通じてストレスに対処する技術をどこかで学んでいるのです。
そして、このストレスに対処する技術のことを「コーピング」と言います。コーピングの語源である「COPE」は英語で「負けずに戦う」という意味をもっています。
第一回目の講座で、ストレス状態を「バネが縮んでいる状態」と例えましたが、コーピングとはまさに「バネをもとに戻そうとする力」と言えます。
代表的な4つの手法
コーピングには代表的な4つの手法があります。一つ一つ、かなり具体的なやり方があるのですが、まずは全体のイメージをつかんでいただくことが今回の目的です。
分かりやすくするために、2つのケースを想像しながら話を聞いてください。
- 絶対に失敗できない大きなプレゼンを1週間後に控えているケース
- 職場の上司が感情的で、毎日のように仕事のやり方で叱責をうけるケース
刺激に対するコーピング
一つ目は刺激に対するコーピングです。刺激(ストレッサー)そのものを除去・軽減するアプローチです。
ケース①の場合は一週間後のプレゼン、ケース②の場合は上司の叱責がストレッサーになります。
①の場合であれは、「プレゼンを成功させるための行動」ことが最も王道的なコーピングです。準備を行う、コンディションを整える等、具体的には様々な行動で成り立ちます。
その他、現実的にできるかはさておき、考え方としては、「他の人に代わってもらう」「会社を辞める」等も、プレゼンというストレッサーを目の前から除去する一つのコーピングです。
②の場合であれば、「上司に叱責を受けないように仕事をする」ことが最も王道的なコーピングです。その他には、こちらも現実的にできるかはさておき、「上司を避けて関わらないようにする」「別の部署に配置転換してもらう」等もストレッサーの除去や軽減に向けたコーピングと言えます。
評価に対するコーピング
次に評価の対するコーピングです。ストレッサーに対する自分の受け止め方を変えることで、ストレスと感じなくする、感じ方を軽減するという方法です。
前回までの記事で
- 有害性の過大評価
- 対処可能性の過小評価
の2つの評価がストレスを強めることをお伝えしました。ですので、評価に対するコーピングとは、有害性の過大評価を改める、対処可能性を過小評価を改めるという方向性になります。
①のケースでいえば、
「失敗したらもう会社にいられない(有害性の過大評価)」「自分の力では絶対にできない(対処可能性の過小評価)」
と考える人が、
「成功すれば出世のチャンス」「失敗してもいい経験になる」「まあ、何とかなるだろう」
などと切り替えることができれば、ストレスが軽減されるわけです。
②のケースでいえば、
「上司に叱責を受けて、周囲からもダメな人間と思われている(有害性の過大評価)」「自分には叱責を避けることはできない(対処可能性の過小評価)」
と考える人が
「上司はあんな人。周りもうんざりしている」
などと考えることができるとストレスが軽減されます。
反応に対するコーピング
次に反応に対するコーピングです。
前回までの講座で、ストレスに対する反応には「身体面の反応」と「精神面の反応」があるとお伝えしました。
さらには、ストレスを感じたときに一時的生じる「急性反応」と、継続的に強いストレス状態になることで生じる「慢性反応」があることも説明しました。
①②の例で、
- 「心拍数が高まる」「胸がきゅーっとなる」「顔が熱くなる」等は急性の身体反応
- 「緊張」「不安」「焦り」などは急性の精神反応
になります。
こんな時に、例えば
- 深呼吸をすう、外の空気を吸う
- 夜にジョギングする
- 友人とお酒を飲む
などは、心を落ち着かせたりストレスを和らげてくれます。これが反応に対するコーピングです。
残念ながら慢性ストレス反応が生じてしまう場合は、服薬が一つの重要なコーピングになってきます。
社会的支援によるコーピング
最後に社会資源によるコーピングです。
「刺激」「評価」「反応」の三つのコーピングについて、「他者のサポート」を活用しながら行うイメージです。
例えば、①のケースを見てみましょう。
「プレゼンを成功させる」ために「先輩に資料のアドバイスをもらう」のは社会資源を活用した刺激に対するコーピングです。
「失敗するかもしれない…」と不安で悩んでいる時に、同僚から「大丈夫だよ。失敗しても経験になるよ!」と励ましてもらうことは社会資源を活用した評価、反応に対するコーピングと言えます。
「刺激」「評価」「反応」のコーピングをスムーズに行うために、ぜひ活用したいのが社会的コーピングなのです。
本日はストレスに対処する技術「コーピング」について、代表的な4つの手法をご紹介しました。今日のポイントはたった二つ。
- 四つの分類は「刺激」「評価」「反応」「社会資源」であること
- 社会資源のコーピングは、他の3つのコーピングを補えること
今後、ストレスへの対処を考えるときに、必ず、4つの分類をイメージしましょう。
そうすれば、ストレス状態に陥った時に「ストレスを減らすためにどんなコーピングをするか?」を戦略的に考えられるようになりますよ。
「今回はこのコーピングをやってみよう!」と選んで実行してくイメージです。
そうは言ってもそれぞれのコーピングのやり方については、まだ漠然としていると思います。また、ストレス状態でいかに冷静になれるか?も大切な点です。
なので、次回からは4つのコーピングそれぞれについて、さらに詳しく、実践的に説明をします。